皆さま、明けましておめでとうございます!
日頃のご支援・ご協力誠に有難うございます。今年もどうぞ宜しくお願いいたします。
さて2023年の三が日からTokyo River Friendsさんの荒川でのリバークリーンに湘南クリーンエイドフォーラムから3名のメンバーが参加しました。Tokyo River Friendsさんは団体名の通り、荒川、江戸川、多摩川という東京を代表する3大河川で精力的に活動している団体です。昨年は53回(ほぼ毎週どこかで活動している?!)の活動で3,000袋(45L)ものごみを回収したとのことです。
因みにTokyo River Friendsさんは昨年の30日(金)にも活動していて今回よりも多くのごみを回収しています。なんと今回の活動はそれからなか三日での活動でした。この記事では3日(祝)の活動の様子と、私が荒川で活動していた頃の資料を使って荒川のごみの状況についての考えもお話したいと思います。
◇活動概要
実施日:2023年1月3日(火・祝) 13:30ー16:30
活動場所:荒川(船堀橋下流左岸)
参加者:13人
ごみ回収量:140袋(45L)
◇活動の様子
活動中に「調べるビーチクリーン」と「10000ピースプロジェクト」を別途行わせて頂きました。普段のビーチとは比べものにならないごみの量ですので大変な作業でした。私はこの記事を執筆している時点でもまだ足腰の筋肉痛が続いて(3日目)おります。
■調べるビーチクリーン
ごみを48種類に分類してカウントする調査活動です。データを積み重ねてごみの動向を把握することを目的とした活動です。
■回収したごみの詳細内容です↓
飲料ペットボトル/20
飲料ビン/6
飲料缶/3
ボール/2
プラキャップ/5
生活用品(ビデオカセット)/3
飲食系プラ容器/21
飲食系発泡容器/3
飲食系ポリ袋/5
飲食以外プラ容器/5
飲食以外ポリ袋/10
ひも類/2
注射器/1
硬いプラ片/40
発泡系破片/22
ポリ袋破片/80
合計/228個
※たった4㎡に15㎏ものごみが有りました!
■10000ピースプロジェクト
1㎡エリアを1ピースとカウントしてそのエリアのごみをマイクロプラスチックも含めて取り切る活動です。
今回の活動場所は都営新宿線「船堀駅」から徒歩30~40分ほどのエリア(河口から約2㎞)で普段は殆ど人が来ない場所です。そこに存在するごみは現場でポイ捨てされたものではなく、上流から流下してきたごみと潮位変動(上げ潮)で東京湾から遡上してきたごみです。荒川の下流域ではごみが水の動きに合わせて河川エリアと東京湾エリアを行ったり来たりしていて、その一部が水際に繁茂している葦(ヨシ)の間に挟まって溜まるというメカニズムがあります。
どれぐらいの割合のごみが河川にフックされるのかは現時点では判っていませんが、荒川のごみの様子を見て、そこにフックされずに海洋に流出してしまったごみの量を想像すると恐ろしくなります。下の写真は私が(NPO)荒川クリーンエイド・フォーラムで活動していた時に撮影した川ごみの写真です。
上二段の写真は漂着ごみですが、三段目の写真はじつはホームレスが発生させたごみです。先程は荒川の水際のごみは現場でポイ捨てされたごみではないとお話ししましたが、じつは荒川の河口域(河口から30㎞)には200人ほどのホームレスが居住しています。実態は不明ですが、写真の通りその居住地周辺から河川に流出しているごみも膨大な量にのぼると思われます。このような状況は大なり小なり荒川に限ったことではありません。ごみ問題は貧困問題をはじめ様々な社会課題と密接な関わりを持っています。
◇荒川のごみの状況
そもそも、「なぜ荒川にはごみが多いの?」と思われる方も多いと思いますが、それは日々の生活で荒川に関与している人口(流域内人口)が1,000万人以上いるからです。日本の総人口の1/10近い人たちが発生させたごみが色々なルートで荒川に流入していると思われます。私は荒川で活動していた時に2年間にわたり定量調査を行ないました。その毎月の調査では1ヵ月で4㎡に堆積するごみの平均量が5㎏(年間60㎏以上)を超えていました。そしてそのごみの9割以上が私たちが日常で使用していた生活関連品でした。
◇ごみ問題の根源的な要因
ごみ問題の根源は私たちのライフスタイルにあります。昨今、ごみ問題をすべてプラスチックに責任転嫁する風潮が強いですが私は良く考えて頂きたいと思っています。例えが悪いかもしれませんが、プラスチックを一方的に責める考え方は「包丁を持って押し入る強盗犯よりも包丁の方が悪い」というようなロジックになります。私の考えるごみ問題の根源は「今だけ、自分だけ、お金だけ」という一言でいうと「自分勝手な人の心」です。まずは家庭での躾、そして学校での教育がごみ問題の解決には一番大事なことだと考えています。
話しは変わりますが、1950年には25億人だった世界人口は2022年に80億人を超えたとされます。そして2050年には97億人になると予測されています。直近1世紀で世界人口は4倍近くになる見込みです。(国連発表資料)
このような状況下では地球から受け取る恩恵をこれまで以上に平等に分かち合い、出来るだけ効率的に利用していく必要があります。また、現代世代は未来世代のことをもっと考えて行動する必要があります。私たちは自分たちの子孫に健全な地球を引き継ぐ責任があります。その為にはこれまでのような資源を浪費するライフスタイルではなく、再生可能な分だけを大切に使うライフスタイルへ変容させていく必要があります。また、ごみ問題を単なる素材問題にすり替えて、プラスチックを代替素材に置き換えることに注力するのではなく、ごみを使い終わった不要物とせず、資源として何度も再生循環させるイノベーションを社会に実装させていく必要があります。
荒川のごみ問題も日本が持続可能な社会へ変容していくなかで徐々に改善されていくハズですが、根源的には個人ベースでの意識改革が必要です。荒川でのごみ拾い体験はその第一歩となる「問題の自分ごと化」に役立ちます。まだ経験したことのない方は是非、一度は体験してみてください。
▼Tokyo River Friendsの活動情報(facebook)
https://www.facebook.com/groups/TokyoRiverFriends
(NPO)湘南クリーンエイドフォーラム代表 五十嵐実