2022年 観測史上一番暑い夏になりました。
気候危機の影響が、日本でも日常的に顕著に感じられるようになってきました。
ヨーロッパの熱波や世界各地の大干ばつ、洪水、最近ではパキスタンの国土三分の一ほどが浸水する大きな洪水被害もニュースで取り上げられています。
このコラムでは気候危機について、私たちの生活とのつながりなどについてを発信していきたいと思います。
まず、気候危機にはタイムリミットがあるということを知ってください。
それは「Tipping Point(ティッピングポイント)」「臨界期」と言われる期限です。
温暖化によって上がる地球の平均気温が、ある一定の温度を超えると、地球の気候システムが、劇的に、かつ不可逆的に変わることを指します。ドミノ倒しのように止めることができなくなるといわれています。
イメージを例えると、風情のある日本庭園にある「ししおどし」がわかりやすいでしょうか。斜めの竹筒に少しずつ水が入っていき、満タンになるとカコーンという音とともに中の水がすべて落ちる仕組みになっています。落ちてしまった水はもう元には戻せません。この満タンがティッピングポイントに当たります。
地球の現象で例えると、北極では氷の面積が溶けて激減しています。このスピードが加速すると、当然北極の生態系への影響は計り知れず、北極熊は絶滅の運命をたどることになるでしょうし、北極に限らず南極やグリーンランドの氷床が融解すると海面上昇のスピードも速くなり、南太平洋のサンゴ礁でできた島々は海に沈んでしまいます。水温の高い海水が増えることで大型台風や大雨などの今までなかったような災害の多発が起きやすくなります。気候システムが急激に変化することで干ばつや火災、熱波など、今年多くのメディアが発信してきたような災害が連鎖的に起こり、止めることができなくなってしまいます。
では、ティッピングポイントはいったい何度なのか?
温暖化対策の国際ルール「パリ協定」で、地球の気温上昇を2度より十分低い1.5度に抑えることを目標とするとした合意がされました。この地球の気温上昇が1.5度~2度を超えてしまうと、ティッピングポイントを超えるとされています。(気温上昇1.5度とは産業革命(1800年代後半)前と比べた地球の平均気温です。)産業革命以降、産業は飛躍的に伸びました。しかし大量の二酸化炭素も排出し続けてきました。温室効果ガスである二酸化炭素を大量に排出し続けた結果、地球は暖かくなり続けています。
そして今、地球の平均気温は1.1℃上がっています。1.5℃目標まで0.4℃と差し迫っているのです。
1.5度目標を実現するには、世界の二酸化炭素の排出量2030年までに10年比で45%減らし、2050年には実質ゼロにする必要があります。
気候危機の問題は人類すべての喫緊の課題です。こういうと大袈裟な、と感じるかもしれませんが、気候危機に無関心でいられても、無関係ではいられないのです。
2030年まであと8年。
私たちに出来ることはまだまだ沢山あります。
- 自宅の電気会社を自然エネルギーの電力会社に変える
- 自分の住んでる街の自治体へ意見を伝える
- 声を上げる
- セミナーなどに参加してみる
- 市民団体の活動に参加してみる などなど
また、生活の中でできることも沢山あります。
・節電・マイボトルマイバッグ・使い捨ての物を買わない・ゴミを少なくする・脱プラスチックを意識してみる・地産地消の物を買う・オーガニックの食材を選ぶ・プラントベースの食事をする・車より自転車や電車バスを利用するなどなど沢山あります。できるアクションについてはまた取り上げていきたいと思います。
買い物は投票だ、と言いますが私たちの日々の選択が未来を創ることに繋がります。
気候危機の原因となっているのは、私たち人類がエネルギーや産業、生活の中で出している温室効果ガスが起因となっています。中でも二酸化炭素(CO2)の排出量が一番の起因となっているため、「脱炭素」という目標を世界で掲げているのです。ティッピングポイントを超えてしまったら私たちや子供たち、次の世代は、今のように生活できるのでしょうか?この美しい生命にとんだ地球を次世代に残すためには、私たちの世代でパリ協定の1.5度目標をなんとしても達成する必要があります。
気候危機を止められるのは、私たちの世代しかいないのです。
私たちの住んでいる地球は、この広い宇宙で1つしかないのですから。