2019年11月6日(水)湘南生活クラブ生協ちがさきセンター学習会

2019年11月6日(火) 湘南生活クラブ生協ちがさきセンターさまにお声がけ頂きプラごみ問題の講演をさせて頂きました。当日の様子を同会専務理事の加藤稔さまの文章をお借りしてご紹介いたします。

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今日はマイクロプラスチック問題について学習会。講師の五十嵐さんとは、6月の藤沢での学習会に続き、湘南生活クラブでもお呼びして学習したいと思っていたので実現出来て良かったです。

振り返ってみよう。
海と川で保全活動をしている五十嵐さんを講師に招いてごみ問題の基礎知識や活動から解ってきたことを伺い、世界のごみ問題までを判り易く学ぶ事ができました。五十嵐さんとは2年前の藤沢市消費生活展で知り合い、その後Facebookでお友達をさせて頂いておりました。

講演の最初にスクリーンに映し出された河川敷や海岸のごみ。日本人って、いつから「モラル」に反する行動を取る人種になったんだ!「倫理」「道徳」という意味を持つ「モラル」は、どんな時代にも世代にも共通する「善悪を判断する基準」だよね。拾っても拾っても次から次に捨てられるごみ、ポイ捨てする人はどういう気持ちで捨てているのだろうか?…自分には理解できない。ごみは川に捨てましょうって親から教わったのか?子どもはごみを川に捨てても良いよって親に教えられているのか??花火大会やバーベキューで楽しんだ後にごみを捨てていく日本人…最低ですね。私は目の前で見かけたら叱ります。

 

次に荒川で26年、ごみを拾いながら調査したデータをもとに色々なごみの動向が紹介されました。拾ってもまた現れるごみ、その8割近くが容器包装。特にペットボトルがここ最近10年では連続ワースト1で、1996年の業界団体の自主規制解除により小型ペットボトルが市場に流通したことに端を発し、年々その販売量が増えるのと比例するように、ごみとして拾われるペットボトルの数が増え続けています。右肩上がりに増える販売量とごみとして拾われる量が同じ動向を示していることが紹介されました。

 

出展元:NPO荒川クリーンエイド・フォーラム

そして、中盤には今回の学習会のメインテーマである世界的なごみ問題として3つの大きな問題が紹介されました。①2050年問題:2050年には海の魚の量(重量)よりもプラごみの方が多くなると推計されています。プラスチックは軽い素材ですから、魚の量より多くなるという事はとんでもない量になりますね。②マイクロプラスチック問題:去年あたりからマスコミでも取り上げられるようになり、現在はブームのように日々新たな情報が更新されています。③生物多様性保全問題:多くの生きものたちがプラスチックによる被害で絶滅の危機に瀕していることが紹介されました。例えば海鳥の赤ちゃんが親鳥から餌の代わりにプラごみを口移しで与えられ餓死していること。その悲しい写真が紹介されましたが、ごみを手に取った写真は、右がハシボソミズナギトリという日本近海を初夏に移動する海鳥が誤飲している量と同じ0.6gのプラスチック。それを人間の体重に換算すると左の量のプラスチックになるといいます。

    

学習会の中で最後に紹介された2つの「日本人の昔からの考え方」

①三方良し:日本三大商人の一つ、近江商人の活動理念として有名なのが、いわゆる三方よしの精神で「売り手よし 買い手良し 世間よし」。買い手に喜んでもらうことはもちろん、社会貢献ができてこそ良い商品であるという考え方であり、社会との関わりを重視するソーシャルマーケティングの視点が400年前から取り入れられていました。自分だけ儲けていたら継続的発展はないよ、という事。②企業は社会の公器:経営の神様と称される松下幸之助の経営理念。自分の会社だけが栄えるということは、‪一時‬的にはありえても長続きはしない。いわゆる共存共栄でなくては、真の発展、繁栄はありえないという考え方。企業は社会とともに発展していかなければならないという現在のCSV(共通価値創出)の基本思想を見事に表現している。何十年も前から考えられていた経営コンセプト。

 

2005年に国連がPRI(責任投資原則)といって環境・社会・企業統治に配慮している企業とそうでない企業を選別し、投資や資金の引き上げすることを提唱し、ESG投資の関心が高まり、2010年以降はCSV(共通価値創出)という、企業活動で社会の発展に寄与するという考えが生まれ、徐々に浸透していくなか、2015年に国連がSDGs(持続可能な開発目標)が提唱された。日本では最近急にSDGsという言葉が出てきたと思われがちだが、実はこうした国際的な流れがあって今に至るのですよね。

出展元 (一社)日本サステナブル投資研究所

ここで考えさせられるのが、協同組合の使命。協同組合は、人びとの自治的な組織であり、自発的に手を結んだ人びとが、共同で所有し民主的に管理する事業体をつうじて、共通の経済的、社会的、文化的なニーズと願いをかなえることを目的としている。地域を豊かに、持続可能な町(社会)を作って行く。持続可能な未来のために行動する力!そうだった、協同組合の定義、価値と原則は、2度の地球規模の大きな大戦も乗り越えて受け継がれているんだ。協同組合が大切にする考え方を今一度伝えひろげよう。

ごみの問題からもそう思い返すことができ、とても良い研修でした。社会は変えられますよね。五十嵐さん、ありがとうございました。